杉原 祐介

福岡支社
営業部

取材日:2021年11月4日

公開日:2021年12月23日

リアルであることを
徹底する人。

社内に好循環を生み出すために

博多湾を取り囲んだ立地で背後に豊かな緑を従える福岡の街は、山海がかもす空気が穏やかに人々の表情を照らしている。そして杉原が現在課長職を努める福岡支社は、文化拠点・アクロス福岡のほど近くに位置する。

「10月に福岡でも緊急事態宣言が解除されました。連日たくさんのお客さまを訪問して、これからの広告戦略について前向きなお話ができています。内勤続きだったので体が慣れておらず、たいへんではありますが……」 一時期の閉塞感を経て、クライアントのマインドが変化してきたことを実感している杉原は、明るい表情で切り出した。

「首都圏のように市場が大きいわけではないので、ここではひとつひとつの営業機会を丁寧に掘り下げていくことが必要です。何気ない会話が糸口となることが多く、まめなコンタクトは欠かせません。」


長崎、熊本、鹿児島にある営業所を管轄する九州ブロックは、目下好調な営業成績を維持している。杉原のような優れたプレイヤーの活躍に依るところも大きいが、近年若い社員が複数入社した事務所の溌剌とした雰囲気も要因のひとつだろう。

「自分の数字を求められていることはもちろんですが、部署のメンバーの数字の管理も求められています。」 杉原は現在九州での売上トップの成績を収めている。そして自分の数字に裏付けられた実践で、後進の指導に携わっている。

「人材採用について留意していることは2つ。趣味をもっているか、そして面接時に仕事の実際を誠実に話すことです。」

こうした姿勢は自らの経歴とも関係している。

「沖縄でライフガードの職に就いていて28歳で出身地である福岡に戻ってきました。求職中に目にしたのがキョウエイアドの求人。面接で仕事のたいへんな部分についてきちんと説明を受けていたので、入社後のギャップもなく、ここまで続けてくることができました。 入社当初は顧客発掘に苦労しました。積極的に先輩や上司に教えを請い、4年目くらいから劇的に状況が変化。仕事を自らでコントロールできるようになったからです。 こうした実体験は、机上のロジックと比べてメンバーへの響き方には雲泥の差があるとおもいます。」

入社後のフォローもきめ細やかだ。

「メンバーの個性を尊重しつつ、案内の方法やクロージングの進め方についてアドバイスします。そして、メンバーからの意見は柔軟に聞き、褒めるところはきちんと褒める。そうすると自信をつけてくれます。こうしたトップダウンとボトムアップの好循環が、事務所の雰囲気作りにつながっているとおもいます。」

「リアル」を演出する営業の工夫

現在、福岡支社では交通広告はもとより、官公庁の媒体の扱いも大きな比率をなしている。他にもラジオのCMなど、クライアントのニーズに応じた多様な提案が可能だ。そして、企画書の内容のブラッシュアップにも取り組んでいる。

「お客さまが出稿した場合、どのような可能性が広がっていくかがイメージできるよう工夫しています。」

杉原はこれを「臨場感」と表現する。

競合の状況や、広告が駅や交通機関の車内でどのように掲示されるかなどに気遣った、視覚的に分かりやすいプレゼンテーションをおこなう。提案の「見える化」により、あたかも現場に立ち会っているかの如くイメージを膨らませてもらう、というわけだ。
そしてさらに、クライアントに寄り添った商材説明を重ねていく。

「電車のドア上のポスターの場合であれば、通勤客の行動を具体的に話し、交通広告の必要性と関連付けます。 個人的に考えたキャッチコピー案を伝えて、交通の利用客がお客さまの商品と接点をもつ瞬間をイメージしてもらうこともあります。
抽象的な言い方になりますが、正面からではなく角度を変えて説明してみると、お客さまの反応がまったくちがう場合もある。そうした経験を積んできた自負があります。」

根底には、詳しい説明はWebにまかせるという、今の時代の交通広告がもつ役割への明確な意識がある。だから広告の表現についても例を挙げながら、情報を整理したことでうまくいく可能性が高いものと、そうでないものを説明する。

こうした、「リアル」にこだわり効果が出るよう工夫する姿勢には、プロとしての矜持と同時に、出稿をクライアントのビジネスに最大限に役立てたいという強い気持ちがあらわれている。

交通広告の価値を見つめ直し
商品開発に取り組む

キョウエイアドでは各拠点で仕入れた媒体を、全国に展開するすべての拠点で販売できる体制を敷いている。そのため、クライアントは容易に広域にわたる広告展開をおこなうことができる。
福岡支社でも、そうしたスケール感のある商品開発にも力を入れている。
「九州で仕入れた媒体を全社で販売してもらいました。また、広報誌だけでなく自治体の施設系媒体も積極的に開発に取り組んでいます。
両者とも企業のステータス向上の面でも有益な企画です。こうした試みを大きく広げていきたいです。」

そして、交通広告の価値をネットとの関係性という視点で改めて捉え直すことで、クライアントが効率的な広告予算の投下を実現できるよう模索している。

「ネットでの発信が充実しているお客さまには、そうした情報に誘導するための効果的な方法の一つに交通広告があるということをお話しします。私見ですが、通勤などで交通広告に触れる機会の多いユーザーは、購買意欲の高い人々が比較的多いとも考えられます。こうしたことを、臨場感にこだわった企画書を交えながら説明します。」

こうして聞くと根っからのアナログ人間のように思われるが、情報収集にはネットを活用し、プライベートではインスタグラムのフォローは800人を超える。
デジタルの長所を実感しているからこそアナログの良さをきちんと説明することができる。

オンとオフのダイナミックなコントラスト

昨年入籍し、今年(2021年)の9月24日に挙式した。
が、休日は家にいることはほとんどない。

陸ではキャンプ、ライフガード時代にトライアスロン競技を通じて出会ったロードバイク、海では佐賀や長崎まで車で足を伸ばしSUP(スタンドアップパドルとよばれる、サーフィン用よりも大きなボードに立って専用のパドルで漕ぎ進むスポーツ)を楽しむなど、アクティブ一辺倒だ。

気の合う仲間3〜4人とのロードバイクのツーリングでは、コースの設定は杉原が行う。名付けて杉原ツーリスト。 SUPで訪れた近海の離れ小島での食材と道具持参の一人焼肉、ひとり浜辺で淹れたコーヒーなど、エピソードには事欠かない。


インドア派の妻とは、共通の趣味である食べ歩きにドライブも兼ねて出かけ、土日の食事は自ら腕をふるい妻に楽しんでもらうことも多い。アウトドアの体験が少ない妻と浜辺の焚き火の側で、ゆっくりした時間を過ごしたりもする。

「土日の予定をウィークデーの仕事の合間にあれこれ考えるのも、また楽しいんですよね。」
こうした、「臨場感」を梃子にして人生を楽しむ才能に溢たライフスタイルが、杉原とビジネスを含めた全てを強く結びつけている。

(了)