坂本 晴香

神戸営業所
営業部

公開日:2019年7月30日

交通広告の奥深さを
真摯なこだわりで
探求する人

神戸の街で広告代理業の営業に邁進する日々

キョウエイアド神戸営業所は、三宮駅から海側に向かって伸びるフラワーロード沿いにある。電飾で神戸の冬を鮮やかに彩る「神戸ルミナリエ」の会場はすぐ近くだ。挨拶を済ますと、坂本は手短に神戸という街の特徴を説明してくれた。

「大阪の『食いだおれ』、京都の『着だおれ』に対して、神戸は『履きだおれ』の街と言われていて、とっても靴屋さんが多いです。洋菓子屋さんの長いカタカナの名前をスラスラと言えるのは、神戸の人に特有だそうです」
関西ではいち早く西洋の息吹に触れてきた歴史的な背景が、街のそこかしこから伝わってくる。

「お仕事では、いつも利用している生活者の気持ちになって考えるようにこころがけています。広告掲載主から『自分もこの路線を使っているが、利用者の層を考えてこのような広告を出したい』と言われ、その路線の性質が掴めることも多いです。
企画書はひと目で分かるようにまとめ、同業種の参考画像もお見せしています。ファックスを利用する場合も多いので、白黒表示でも分かりやすいものをこころがけています」

例えば高齢の男性の利用が見込める路線の広告を販売しようとした場合、どのようなクライアントにアプローチしますか、と質問すると間髪いれずに答えが返ってきた。

「眼鏡などの生活用品、釣りやゴルフなどの関連企業などがすぐに思い浮かびますね。また、高齢の男性の来店比率が高いといわれるパチンコなどの娯楽産業関連も、いろいろな告知によるお客さまの囲い込みに積極的ですね」

主力商材である交通広告について毎日考え抜いて、様々なことを実践しているだけあり、媒体の特性の分析は仔細で具体的だ。


「交通広告は、まずイメージアップ効果が挙げられます。公共交通に広告を掲載するので企業の信用につながります。
また、ネット広告ですとPCの苦手な消費者には届きにくいですが、交通広告は幅広い方々に見てもらうことができます。

飲食店の広告で美味しそうな食べ物の写真が大きく掲載されていると、電話番号を控えてすぐにお店に電話をくださることもあります。テレビCMなど他の広告手段と比較してコストパフォーマンスにも優れています。

先日東京で山手線に乗る機会があり、デジタルサイネージの普及を実感しました。近年テレビの視聴者は減少していますが、交通広告は動的コンテンツによる訴求の受け皿として可能性があるとおもいます」
テレビ、ネットと比較した交通広告の優位点を説明してくれた。

「でも自分にとって一番大切なことは、仕事を『やりがいをもって楽しめているか』ということです。打合せでお客さまから広告のプロとしての意見を求められた時はやりがいを感じます。先方の担当者と一緒にアイデアを絞っている時間が楽しいですね」
そうした密なやり取りの結果として、クライアントがわざわざ事務所に挨拶に訪ねてくれることも多い。

営業スキルの向上などを目的として実施される「出張キャンペーン」により、本社から訪れた社員の指導を仰ぐ機会があった。
「まず電話の入り方が違いました。相手にすれば突然かかってきた電話ですから、それを慮り丁寧に挨拶をしてから商品の説明に入る。説明は理路整然としていて、首都圏は扱う商材の数も多いので商品知識も豊富でした。

自分が電話を切った後は『どこに電話をして、何を聞かれたのか』『そうであれば、こういう風に話した方がいいのでは』ということを、いろいろな例を挙げて説明してくださりました。厳しい指導でしたが今も感謝しています。
また、休日にはBBQで懇親を深め、貴重なお話を伺うこともできました」

懇親のBBQパーティにて


土地ごとにクライアントの気質や売れる商材は異なる。そのことを坂本は、数年前に出張キャンペーンで赴いた香川県の高松営業所で、現地の商材を現地のクライアントに営業することで身をもって体験し、成長の糧とした。

「高松では、交通広告に加えてネット広告の販売にも重点が置かれていました。お客さまの気質も神戸とは異なり、出稿費用の説明をする際に『うどん代に換算すると何杯分だね』と言われることがあるよ、と事前に聞かされていました。実際にそのようなやりとりを経験し、おどろかされました。

また、交通広告とネット広告は商材の特性が異なりますので、ネット広告を販売する際にはプレゼンテーションを改めて考え直すなど、苦労はありましたが、学ぶところも多かったです」
掲載費用を「うどん」の杯数で計ろうとするくだりは、讃岐うどんで全国に名を馳せ、「うどん県」を自負する香川ならではのエピソードだ。
「自分が普段アプローチしている関西のお客さんには、例えば京都では『観光客をうまく取り込もう』、大阪では『目立ってなんぼ』など、それぞれの土地柄に応じた考え方の違いがあります。

神戸では、お客さまによっては『控えめにしている方がおしゃれ』と考えておられる場合があります。そうしたマインドを乗り越えてもらえるような魅力をもった提案をしていかなければなりません。
出張キャンペーンでは、そうした商圏ごとの特徴の違いに気づかせてもらい、営業というお仕事についてより深く考えるための得難い機会となりました」
こうした学びの機会を通じて、坂本は各地の広告マーケットに関心を抱いている。

「九州には広範に路線を展開している大手のバス事業者があります。特に福岡を中心とした、そうした大きなバス交通網での交通広告のマーケットとはどのようなものなのかとても興味があります。また特に東京、大阪、名古屋などの大都市圏ごとのマーケットの規模やそれぞれの特徴にも関心があります。もし機会に恵まれることがありましたら、そうした大都市圏での営業活動を体験してみたいと思うようにもなりました」

広告代理業との「縁」

神戸で生まれ育った生粋の「神戸っ子」である坂本。ハイカラな土地柄が影響してか、実は幼少期から広告代理業には少なからぬ「縁」があった。

幼い頃、大手広告代理店で働く父を持つ友人の家で遊んでいた時、友人の母親に「晴香ちゃんは、広告代理店とかに勤めそうやね」と声をかけられた。その時はテレビのCMをつくる会社、という程度の認識だったが、以来「広告代理業」という仕事を折りに触れ意識するようになる。

中学生の時には『興味がある職業の人にインタビューする』という宿題で神戸のFMラジオ局でスタジオを見学、スタッフにインタビューをした。高校3年の時には文化祭で模擬店を運営し、大学では学園祭の実行委員会に所属。上位数社の広告代理店への就職を志したが希望は叶わず、飲料の卸業務を主体とする会社に就職するが、1年を経て退社した。

転職のため神戸市の若年者就職支援事業に登録。求人企業の合同説明会でキョウエイアドから交通広告を軸とした事業の説明を受け、「交通広告」という分野を初めて知り、応募。採用決定の通知が届き、坂本は入社を決心した。

次第に交通広告の奥深さを知る

研修期間は電話営業に苦労した。
「前職で経験した飛び込み営業では、笑顔とともに相手の懐に飛び込んでいくのですが、電話での営業となると、相手の顔も分からない状況で順序立てて商品の説明をしなくてはならない。そうした違いに戸惑いも多かったです」

また、希望して入社したものの、担当したバス広告に対して当初はネガティブな印象しか抱くことができなかった。
「電車の利便性が良い地域で生活していたので、路線バスを利用したことがほとんどなく、高齢の方々の利用以外のイメージが全くわきませんでした」
しかし、普段の営業活動で数多くのクライアントに接し、前述の「営業キャンペーン」などを経験することで、今では「決して派手ではないが、掲載に至るまでにお客さまの数だけストーリーがある」面白みや奥深さがある仕事だと感じている。


そして、プライベートでは音楽や舞台に親しみ、積極的に旅に出る。
「土地柄馴染みが深いので『宝塚歌劇団』は幼い頃から観劇しています。『劇団四季』などのミュージカルの舞台も好きです。近頃は、新しいバンドに出会えるのが魅力で、ロックフェスに出かけることが多いです。以前から「UVERworld」のファンで、「ONE OK ROCK」を聴くことも最近は多いです。旅行も大好きで、昨年はシンガポールとカナダに、このGWはイタリアに行ってきました」

旅先でのスナップや、ロックフェスの会場ゲート付近で写した写真を数葉みせてもらった。屋外広告を上手に写しているよう感じる。
「たしかに普段の仕事の中で、駅の看板のモニター写真をお客さまに提出することが多いので、そうした撮影の癖がついているのかもしれませんね」

勝ち負けへのこだわりの先にある気持ち

「営業の仕事は勝負事のような側面があるとおもっています。局面ごとに『勝ち、負け』があり、そうした『勝負』に負けたくないと思っています。
勝つために、今これをやらなければ負けてしまうと思い『集中するスイッチ』が入った時の私は、とても目つきが悪いらしいですが……」
冗談を交えながら、仕事に対する「覚悟」をきっぱりと語ってくれた。

また係長という役職者として、後進の指導も仕事に含まれる。
「仕事ってこんなものだよ、と諭すのではなく、まず後輩と同じ気持ちになって考えたい。まず共感して気持ちを理解してあげたいからです。そのうえで『やるべきことは何があってもやらなければならない』ということを自分の経験を交えながらきちんと話します」
後進に対する思慕の深さと仕事への厳しさを兼ね備えた一面がうかがえる。

転職により身を置くことになったキョウエイアド。坂本はそこで葛藤し、様々な経験を通じて自己を高め、今ではより幅広い視点で広告代理業という仕事に携わりたいという目標をもっている。
会社ではキャリアアップを目指したいと考えているが、それは単純にポジションの上昇を目的としているのではない。
「新しい媒体の開発など、やりたいことをやるためです。皆が私の意見に耳を傾けてくれるように、やるべきことをやった結果としてそうなっていければ、と思います」

「希望を叶えるために自分の道を切り拓いていく」という坂本の言葉は、神戸の澄んだ空のように凛々しかった。

(了)