PERSON

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自分らしさの原点

近田 卓夫

札幌支社
営業部

多忙な日常の中誠実にすべてに向き合う人 多忙な日常の中誠実にすべてに向き合う人

「点」から「線」に、そして「面」に展開する

「新しい価値を創造する」―ビジネスにおいて、必要不可欠でありながらもっとも困難を伴う作業だ。

2012年に北海道支社に入社して営業部に所属する近田は、社の強みである交通広告に注力するとともに、ラジオ媒体を舞台とした仕事で「新しい価値」を生み出そうと奮闘している。
「求人を専門とする媒体や、音楽の分野に強いフリーペーパーでの仕事を経て入社しました。前職での経験が、現在の仕事のフィールドの拡大にうまく結びついていると思います」

除雪が行き届き、歩くのに苦労することは少ない札幌の街中、事務所に戻ってきた近田はさらに話し始めた。

「他にイベントや音楽系企業のオーディションにも関わっています。こうしたことは直接仕事になることもあれば、そこで築いた人間関係によって、時間を経てから新たな仕事に結びつくこともあります」

クライアントとの関係を構築するためのスタートアップに、まず集中することを心がけている。
「まずアポイントを取ります。私は電話をかけるのが苦手なのですが、北海道の担当者は柔軟な姿勢を持って会って下さる方が多いので実際にプレゼンテーションの機会をいただければ、提案の内容とともに、私という人間をよく分かってもらえると思います。首都圏ほど大きいマーケットではないので、数を当たるという営業手法をとることは難しいです。また北海道では、一度直接顔を合わせないと相手企業はなかなか発注してくれません。
ですので、波長の合ったクライアントからは、ニーズをすべて汲み取り、受注につなげたいと考えています」

まずこれと見定めたクライアントに熱意をもって接して「点」をつくる。
さらに、信頼関係を構築して深度をつくり「線」とする。そこから多くの可能性を見出し「面」としてひろげていく、というイメージを近田はもっているように感じる。

最近ではネットを介してアプローチから受発注、そして時には納品まで完結する流れが多くなってきている。しかし、北海道の地ではそのようなことはまずない。一度顔を見て直接話を聞いて、信用するに足りる人間でなければ発注はしてくれない。ここでは、商品力だけではモノは売れないのだ。

近田は出身地である札幌でずっと暮らしている。郷土愛もさることながら街や人間関係のスケール感が、自分の経験を活かし個性を発揮できる、ちょうどよい大きさであると考えているからだ。そして実際に、細やかな人間関係を礎とした活動を展開している。

現在担当している「FMノースウェーブ」制作のラジオ番組「ボロドンバーン」に関わるきっかけは、とある大手の音楽レーベル関係者からの「このアーティストを起用した番組をつくりたい。協賛企業の発掘をお願いできないか」というオーダーだった。
現在も協賛を続けてもらっている求人事業に注力しているクライアントをレーベルの関係者と訪れ、思いの丈を伝えるプレゼンテーションを行った。これまで築いてきた実績と信頼関係が功を奏し、クライアントの返事はオーケーだった。

番組中に学生に出演してもらっているコーナーがある。年間約40名程度の出演者を近田がブッキングしている。
クライアントにもそのコーナーは好評で、年月を経てクライアントのビジネスも拡大している。自身の仕事を通じて、クライアントに「新しい景色」をみてもらうことに成功したと自負している。近年ではSNSも活用して、いろいろなことがうまく連動しはじめている。

「広告がらみの案件というよりは、クライアントや番組関係者でひとつのコンテンツをつくりあげている感覚です。出演者が盛り上がることでコーナーが盛り上がり、番組が盛り上がる。そしてクライアントを盛り上げることが、求人市場の活性化につながる。こうした新しい価値を生み出す好循環を、さらに膨らませていきたいです」

プライベートでは、年間30〜40本ほどのライブに顔を出す。「もしかしてそのミュージシャンをインタビューする機会が訪れるかも知れない」という気持ちが常にある。だから、「観に来て欲しい」という依頼があればなるべく会場に足を運ぶ。

仕事とプライベートを完全に切り分けることが良しとされる最近の風潮とは、異なる取り組み方ではある。それが苦になることはないのか質問してみた。

「自分はONとOFFを完全に切替えると、特に仕事モードに戻るときに苦労するんです。だから常に体を慣らしておく、車に例えるとアイドリング状態にしておき、すぐにスタートできるようにしておくということでしょうか。自分には、そうした程よい緊張の中に身を置くのが合っている」

たとえ少し帰宅が遅くなることがあっても、妻もそうした夫の仕事ぶりに深い理解を示してくれている。

自宅ではスコティッシュフォールドという品種の1匹の猫(オス)を飼っている。愛猫について語るとき、近田はうってかわって口調がおだやかになる。
「繁忙期は帰宅時間が遅くなってしまうこともあるのですが、玄関のドアをあけるとすぐ目の前まで迎えに出てきてくれるんですよ」

近田の話に、にこやかな表情で耳を傾けているのが2016年9月入社の宮森菜月だ。
現在は媒体課に所属。交通系の広告申込みに対する事務処理をこなす傍ら、近田が関わるラジオ媒体のフォロー業務や、クライアントへのヒアリングをもとにした情報の整理やアイデア出しもおこなっている。
近田は宮森を「意志が強く、責任感がある。こまかく状況をチェックしてマネジメントする能力は高いものがあります」と評している。

宮森に近田の印象をきいた。
「私の意見をフラットな姿勢で聞いてくれる、年齢や立場の違いを越えて会話ができる上司です。ともに喜怒哀楽がダイレクトに表に出るタイプで、割合と静かな事務所の中で、仕事で良いことがあると二人で盛り上がっていることもあります」
感情を素のままに表出するところが、豊かな人間味としてクライアントの目に映り、好ましい関係性を築けているのだろう。
(下写真:営業部媒体課 宮森とFMノースウェーブ社屋で)

近田、宮森が関わっている番組「ボロドンバーン」の収録日ということで、番組関係者から話を聞くためラジオ局「FMノースウェーブ」に移動する。
「徒歩でもすぐのところですから」
雪が残る足下を気にする風もなく、近田と宮森は軽快に、どんどんと歩いていく。

ラジオという場でつくりあげたもの

「ボロドンバーン」は、DJをつとめるバンド「THE BOYS & GIRLS」(ワタナベシンゴ(歌)、ソトムラカイト(ベース)、カネコトモヤ(ドラムス)、ケントボーイズ(ギター))の4人が繰り広げる楽しげなトークが売りとなっているFMノースウェーブの人気プログラムだ。ネットでのラジオ番組の聴取が一般的となった現在、バンドの魅力を全国に発信している。

「バンドメンバーがそれぞれ個性的なので、楽曲のみならず、トークを通じて彼らの魅力をリスナーに知ってもらいたい」という番組ディレクターの津田鉄平さんの考えから、フリートークの比重が多い。

クライアント提供の「ノースアルバイター」のコーナーでは、注目のアルバイト先の調査という主旨で、飲食店やガソリンスタンドにバンドメンバーが赴く。そこの制服を身に着け、アルバイトをしている若者から指導をうけて業務を実際に体験する。

ユーモラスな印象のカネコトモヤさんは、ガソリンスタンドを訪問し、とにかく職場の雰囲気がいいことを熱心に番組で伝えた。
こうした「熱」は、例えば活字では直接に感じることはできない。人々の音声をダイレクトに伝えることができる、ラジオというメディアの特徴をうまく活かしたものだ。

このコーナーは近田が企画した。放送の月日を重ねるごとにクライアント、リスナー両者にとって有益で、かつエンタテインメントとしても楽しめるコンテンツに成長している。

本番を前にして、番組関係者が笑いとともにフレンドリーな口調で語った近田の人物像は、近田と関係者の距離感の近さを感じさせるものだった。

ワタナベシンゴさんは
「やさしそうな人、というのが第一印象です。近田さんのいるところ、常に笑いが起きている」
と思慮深さを感じさせる口調で話してくれた。
(下写真:上段左からワタナベシンゴさん、カネコトモヤさん、下段左ソトムラカイトさん、ケントボーイズさん)

「広告代理店の担当者としては、なかなかいないタイプです。構えている感じがない。人と接することが好きなんでしょうね。出演者誰彼となくLINEのアドレスを交換し、どんどんコミュニケーションを重ねていく。アタック力があるな、と感じます」

ディレクターの津田鉄平さんは近田の印象とともに番組の展望にも触れた。
「生で音楽を届けたいです。詩やサウンドにプラスして彼らの人間性をもっと伝えたい。そうすれば彼らの曲がもっと輝きをもってみんなに受け止めてもらえると思います」

「THE BOYS & GIRLS」のメンバーも、ファンの声を直接聞くことができる場をありがたいと感じている。
快活に話すカネコトモヤさん、ワタナベシンゴさん、そして物静かな印象のケントボーイズさんとソトムラカイトさんそれぞれが、番組への想いを語ってくれた。

「ライブの感想が聞けて、その時どのような気持ちを抱いたか伝えてもらえる。それが力になり、次のライブへのモチベーションにもなります」
「北海道外の方もライブ会場に来てくれて、ラジオで聞いて気に入ってもらえたのかな、って」
「リスナーから届いたメッセージを聞いた時に自分が抱いた感情は、曲作りにも反映されますね」
「番組を始めてから、ラジオがより身近に感じられるようになりました」

最後に編成部長の竹島智之さんが締めくくった。
「昔はリスナーからの声はハガキで届き、今はメールになりました。ラジオを取り巻く環境はどんどんと変化していますが、音声を聞いてもらい、何らかの思いを抱いてもらう、という本質は変わっていません。
リスナーから届いた声で番組が成り立ち、番組を接点としてリスナーとクライアントがつながる。そのための一番大変で重要な部分を彼に担ってもらっていることに感謝しています」

取材後の食事の席で、近田がスマートフォンを取り出し、ラジオ聴取のアプリを起動した。スマートフォンの小さなスピーカーから流れてきたのは「THE BOYS & GIRLS」のヴォーカル、ワタナベシンゴさんの声。北の大地に生きる若者の誠実さが、確かにそこに存在していることを伝える声だ。近田は何かに想いを馳せるように目を細め、音声に耳を傾けていた。
(了)

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